ここまで様々なファンドの投資方針、ポートフォリオ、実績などをみて投資妙味のあるファンドはあるのかどうか、見ていますが、やはり投資信託を選ぶというのは難易度が高いのではないかと考え始めています。
投資信託を色々と調査しているのは、日本のアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないのは何故なのか、という点を自分でしっかり見て何か考察できればなと思ったのも一因としてあります。
今回取り上げるのは、『野村ワールドスター オープン』です。
野村ワールドスター オープンとは
世界各国の株式及び債券に投資をすることでリターンを目指すファンドです。
ベンチマークは、MSCIワールドインデックスフリーです。
MSCIワールドインデックスとは、米MSCI社が提供する外国株式インデックスです。
世界中でグローバル投資の際のベンチマークとして最も有名なインデックス シリーズとなります。同指数をベンチマークとしたインデックスファンドも多数あります。
MSCIワールドインデックス
対象は先進国24か国、新興国(エマージング)21か国、フロンティア国25か国の約70か国。各国市場の時価総額上位約85%(Small Capシリーズを含めると最高99%)をカバーする広範なインデックス。
概要
目論見書を一部抜粋します。
<商品分類>
- 単位型・追加型:追加型
- 投資対象地域:内外
- 投資対象資産(収益の源泉):資産複合
- 補足分類:特殊型(ロング・ショート型)
<属性区分>
- 投資対象資産:その他資産
- 決算頻度:年2回
- 投資対象地域:グローバル(日本を含む)
- 投資形態:ファミリーファンド
- 為替ヘッジ:あり(部分ヘッジ)
- 特殊型:ロング・ショート型
シーソーの関係にある株式と債券を機を見て積極的に投資をしていくということですね。
王道投資だと思います。テーマ株にも一部入れるとのことで、ファンドマネジャーの手腕が問われるファンドだと思います。
ポートフォリオ
投資セクターは以下の通りとなっています。
業種別上位(株式) | (2020年01月24日現在) |
電気機器 | 13% |
機械 | 10% |
輸送用機器 | 10% |
医薬品 | 7% |
情報・通信 | 7% |
電気機器・機械・輸送機器などオールドエコノミー関連に集中していますね。
この時点で派手なリターンは狙っておらず堅実な印象を受けます。
ポートフォリオは以下の通りとなっています。
順位 | 銘柄 | コード | 業種 | 組入比率 |
1位 | スズキ | 7269 | 輸送用機器 | 0.64% |
2位 | 日本電産 | 6594 | 電気機器 | 0.62% |
3位 | 日本新薬 | 4516 | 医薬品 | 0.59% |
4位 | 東レ | 3402 | 繊維 | 0.55% |
5位 | SMC | 6273 | 機械 | 0.54% |
6位 | 第一三共 | 4568 | 医薬品 | 0.46% |
7位 | ダイフク | 6383 | 機械 | 0.46% |
8位 | 武田薬品工業 | 4502 | 医薬品 | 0.46% |
9位 | 日本製鉄 | 5401 | 鉄鋼 | 0.43% |
10位 | 太陽誘電 | 6976 | 電気機器 | 0.41% |
自動車のスズキ、日本電産と、EV推進に向けて大きく動きそうな銘柄がトップ2となっております。とはいえ組入比率は大きく、やはり分散でポートフォリオを大きなリスクに晒さない方針であることがよくわかります。
実際の実績
基準価額を見ていきましょう。

コロナショックをしっかり回復し、日本電産などは株価が大化けしていましたから、やはり上昇チャートを描いていますね。
実際のリターンを見ていきましょう。
直近1年は35.79%と飛躍しています。
3年は12.32%、5年は14.32%。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 35.79% | 12.32% | 14.32% | 10.80% |
カテゴリー | 3.21% | 0.40% | 2.26% | 2.39% |
+/- カテゴリー | 32.58% | 11.92% | 12.06% | 8.41% |
順位 | 1位 | 3位 | 1位 | 1位 |
%ランク | 2% | 5% | 3% | 10% |
ファンド数 | 80本 | 60本 | 42本 | 11本 |
標準偏差 | 24.42 | 17.48 | 14.32 | 13.8 |
カテゴリー | 9.76 | 7.99 | 8.87 | 6.37 |
+/- カテゴリー | 14.66 | 9.49 | 5.45 | 7.43 |
順位 | 78位 | 58位 | 36位 | 11位 |
%ランク | 98% | 97% | 86% | 100% |
ファンド数 | 80本 | 60本 | 42本 | 11本 |
シャープレシオ | 1.47 | 0.71 | 1 | 0.78 |
カテゴリー | 0.33 | -0.1 | 0.19 | 0.26 |
+/- カテゴリー | 1.14 | 0.81 | 0.81 | 0.52 |
順位 | 11位 | 7位 | 3位 | 1位 |
%ランク | 14% | 12% | 8% | 10% |
ファンド数 | 80本 | 60本 | 42本 | 11本 |
素晴らしい運用成績ですね。年間収益率の推移をチェックしに敷きましょう。

2018年に大きくマイナスを出しており、2015年、2011年もマイナスですね。
なるほどですね。2020年の大きなリターンが、長期トータルリターンの大きさに繋がっていることがわかります。
このリターンのからくりは、やはり組み入れ比率は大きくないもののポートフォリオのNo.2となっている日本電産の株価上昇が寄与しているのでしょう。

日本電産の株価上昇の理由としては超小型ファンモーターの出荷が過去最高を記録していること。またEVトラクションモータで世界シェア拡大に動いていることが要因とされています。
米国のテスラモーターの株価が急騰したように、EVセクターの注目は年々上昇し、2020年には一気に昇華しました。
EVの代表ETF「iShares Self-Driving EV and Tech ETF(IDRV)」のパフォーマンスは以下の通りとなっています。

1y | 3y | 5y | 10y | Incept. | |
Total Return (%) | 58.51 | – | – | – | 37.96 |
Market Price (%) | 59.56 | – | – | – | 38.29 |
Benchmark (%) | 58.7 | – | – | – | 38.22 |
After Tax Pre-Liq. (%) | 58.34 | – | – | – | 37.66 |
After Tax Post-Liq. (%) | 34.92 | – | – | – | 29.64 |
ポートフォリオ第一位のスズキも、EVは独自路線で電動化戦略を進めておりコロナショック後の株価は堅調です。
ただし、EVバブルともいえるこの現象は一度は弾けるでしょう。
現状はEV自動車メーカーも乱立しており、競争も激しくなってきています。
ある程度の下落をこなして、のちにゆったりと株価が上昇していくセクターだと思います。それは日本電産も同様です。
投資妙味について
個人的には、野村ワールドスター オープンの成績は素晴らしいと思います。
2020年のコロナバブルに乗れたことも、評価すべき点です。
しかし、どうしても気になるのがやはりマイナスを出してしまう年があるということ。
長期で運用を任せる上で、失敗がある年があるというのはやはり許容できないところで、その失敗が2018年と直近に起こっていることです。
ただし、成績が常に悪いアクティブ投信の中では優秀と言えるでしょう。
野村ワールドスターオープンと同様、優良ファンドについても色々とまとめていますので、参考にしてみてください。
2020年から投資先としておすすめできる投資先を収益性・安定性・将来性の観点から、ランキング形式で紹介しています。

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