前回前々回と東南アジア全体の魅力と課題についてみていきました。
今回は東南アジアで最大の人口を誇るインドネシアについて取り上げたいと思います。インドネシアは日本人からするとバリ島のイメージが強いかと思います。
しかし、現在は高成長を長期間継続しており勢いよく成長している新興国の代表格です。ではインドネシア株への投資は魅力的なのでしょうか?
今回は注目を浴びるインドネシアについて経済や今後の見通しに加えて株式市場の現状についてお伝えしていきたいと思います。
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5%程度の高い経済成長を持続
まず以下の成長率推移を見て頂くと安定して5%成長をしていることが分かります。

中国より発展途上国なのに意外にあっさりとした経済成長率ですね。ASEANの平均的なレベルです。
ただリーマンショックのような世界的な危機発生時においても5%程度の成長を維持しているところは特筆にあたります。マレーシアとシンガポールと同様に成長率がマイナスに沈んでいるのはアジア通貨危機です。
今後も現在巡航で達成している成長が持続的なものかということを詳しく紐解いていきたいと思います!
労働人口は増加するか?
まずは一番重要な人口ピラミッドですね。そして今後15歳以上65歳未満の労働人口が増加していくのかというポイントです。以下をご覧ください。

綺麗な釣り鐘型で、労働人口が今後も増加し続ける形であることがわかります。人口ボーナスがこれからくるという感じの形であることが分かりますね。
インドネシアはイスラム教で避妊や中絶に否定的ということが、この人口に結びついていると言われています。
また人口も2065年あたりまで増え続け、3億2千万人まで増加していきますので、消費という観点からも拡大していくことが見込まれます。
更に現状は一人当たりGDPは4,000USDと、中所得国の罠である10,000USDまでは依然として距離がある為、直近でまだ発展が頭打ちするリスクは暫くは少ないでしょう。
ただ今後10年の間に中所得国の罠にぶち当たる可能性は、現在の組み立てを中心とする労働集約型産業からの脱却を図っていかなければいけません。
然し教育水準の低さという観点からは労働人口の質という側面で若干の懸念があります。中学生の学力レベルは世界的に下から数えた方がはやく、経済発展を本格的に行うにたる教育が施されているかは疑問です。
実際、日本が急速な経済発展を遂げることが出来たのも、人口ボーナスだけではなく、教育の質の高さが挙げられます。マッカーサーも日本の子供の基礎学力の高さに驚嘆し、将来この国は凄い国になるといったと言われています。
江戸時代からの論語と算盤の寺子屋教育、明治政府の教育勅語が功を奏したというわけです。
サービス業中心の安定した産業構造
インドネシアの産業構造といえば、私は資源というイメージが強いのですが実際はどうなっているでしょうか。以下インドネシアの産業別のGDPの構成をご覧ください。
意外にもかなりバランスのとれた産業構造になっているのが分かります。
確かに原油価格が下落した時にサウジアラビアやベネズエラ、ロシアの財政がまずいというニュースは聞きました。しかし、インドネシアの財政がまずいというニュースは聞きませんでしたよね。
比較的安定した産業構成を持っているといえるでしょう。
比較的高い個人消費の比率
ではGDPを産業ではなく需要面からみていきましょう。以下はタイの需要別のGDP構成比率です。
固定資本形成の大きさが気になりますね。かなり投資に依存した経済と言っていいでしょう。
貿易先トップの中国向けの原産品の輸出の為の設備投資が主ですので、中国経済の煽りをもろに受けやすい構造だといえます。
ただ、マレーシアやタイに比べると個人消費が高い比率になっているので、比較的内需中心のGDP構成となっています。日本や米国の先進諸国は個人消費の比率が7割程ありますが、インドネシアは新興国にしては高い水準とみてよいでしょう。

更に成長の寄与という意味でいうと消費の伸びが堅調な傾向にはありますが、やはりこの投資の寄与率はかなり高めであるといえます。

今はコロナショックでマイナス成長となっていますが、2021年度は正常に戻ることを期待したいところです。
インドネシアの株式市場
ここまでで経済発展力は強いですが、不安定な経済構造であることが分かりました。また経済が強いからといって株式市場が魅力的とは短絡的に結論付けることが出来ません。
今後経済が堅調に成長したとしても、成長を市場が織り込んで先に株式が買い上げられていれば株価自体は割高な水準になってしまいますからね。
インドネシアの主な株については以下のページにまとまっております。
銘柄名 | 業種 | PER |
---|---|---|
アストラ・インターナショナル | 自動車製造 | 12.2 |
バンク・セントラル・アジア | 金融 | 26.41 |
バンク・マンディリ | 金融 | 11.58 |
ブミ・リソーシズ | 石炭採掘 | 赤字 |
インドセメント・トゥンガル・プラカルサ | セメント製造 | 29.35 |
ペルサハーン・ガス・ネガラ | 天然ガス生産 | 34.09 |
テレコム二カシ・インドネシア | 通信 | 18.52 |
ユニリーバ・インドネシア | 一般消費財製造 | 35.53 |
PERは20倍から30倍の銘柄が多く、全体として割高な水準であるといえます。
ただ、株価指数は以下のようにコロナから立ち上がってきている途中で、最高値を目指す動きとなっています。
ただ、以下の通り米国のS&P500指数や日経平均などに比べると出遅れているので、今後投資遅れを取り戻す過程でリターンを狙える可能性は十分にあります。

インドネシア株への投資
楽天証券やSBI証券のようなネット証券で調べると大量に投資信託やETFがでてきました。日本人が日本からインドネシア株式市場に投資することは容易です。
然し、このように誰でもアクセスできるような市場は大量に投資家が入り先述したように割安な水準になりにくいという欠点があります。
魅力的な新興国株式市場と投資が容易な株式市場というのは共存しにくいのです。
インドネシア株株式市場まとめ
以上のことからインドネシアは人口構造から今後も5%程度の成長が予想されるが、教育水準は低く、今後中所得国の罠を抜け出すことができるかは疑問が残る。
またGDPは投資が大きなWeightを占めており、輸出入ともにトップシェアの中国経済に大きく依存しており、中国減速と共に投資活動が抑制され成長率が減速していくおそれがあります。
更に株式市場は堅調に上昇しているものの、PERは既に割高な水準で現在の状況で入ってもある程度の利益は見込めるかもしれません。
しかし、先進国株式市場に比べると出遅れ感があるため、今後最高値を取る過程で高いリターンを期待することも見込まれます。
新興国への株式投資で成功するには
本記事で分析した通り、インドネシア自体は今後も経済成長が見込めるのですが、株式市場自体が割安ではありません。よって投資魅力は大きくはないでしょう。
本当に魅力的な投資先は成長力が高いにも関わらず、割安に放置されている国です。

以下の新興国ファンドランキングでは上記の基準にそって、魅力的な投資先をランキング形式で評価しています。

通常、成長力が高いことがわかっている国であれば、インドやフィリピンやインドネシアのように資金が流入する傾向にあります。
成長力が高いにも関わらず割安な国というのは、まだ外国人からの資金が流入していない国ということになります。
つまり、外国人が現地に証券口座を開設して初めて投資ができるような国ということです。このような国に他者に先駆けて投資することで、本格的に外国人に対して投資規制が解除された時に資金が流入して株価が大きく上昇していきます。
そのような魅力的な国にいち早く着目して投資を行っているのがフロンティアキャピタルになります。フロンティアキャピタルはファンド運用暦7年にのぼる敏腕ファンドマネージャーによって運用されています。
まだ脚光が当たっていない国に赴き、口座を開設して以下のような銘柄を厳選して集中的に投資を行っています。
- 成長しているのにPER4倍〜5倍と割安に放置されている国
- 配当利回りが20%以上の超高配当銘柄
以下の記事で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
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