こんにちは!ワタルです!
インド特集の二回目です。前回インドは人口、金融政策、支出面からのGDPの構成要素からインドの魅力について見てきました。
インドの株式市場はなぜ魅力的なのか?人口ボーナスや高い知的な人的資源が整い成長加速の基盤がある魅力的な経済。
インドの株式市場(先物・ETF)はなぜ魅力的なのか?人口ボーナスや高い知的な人的資源が整い成長加速待ったなしとの見通しの経済に迫る。
本日は産業別のGDPを見た後、国際収支・財政収支から国家自体の収益力と財政の健全性について確認したあと、
新興国投資を行う上では重要となってくる政治についても詳しく見ていきたいと思います。
産業構成別GDP
前回は支出面からのGDPを見ていきましたが、今回は産業別の成長について見ていきたいと思います。

経済産業省:インドの実質 GDP 成長率と項目別寄与度(需要側)

サービス業中心の経済成長であることが分かります。その割合が不動産、商業が多いところから、活発な消費が裏側にあることが読み取れます。
バランスのよい経済成長を産業面からも分かります。
経常収支と国際収支
まずは、経常収支についてみていきましょう。
経常収支は国として外国からいくら稼いでいるか、又は支払っているかという指標ですね。まずは以下を見て下さい。
2010年代前半は国内消費の増加や海外からの直接投資増加によって資本財の輸入増加に、更に高騰する原油価格によって貿易収支が悪化し、大幅な経常赤字となっていました。
然し2014年に就任したモディ政権の経済政策により、インフレ率が前回述べたように低下し、インフレヘッジの為の金の需要が減少し金の輸入の低下、更に原油価格の下落により貿易赤字は縮小し、経常収支の赤字も縮小しています
ではこれに直接投資と証券投資を加えた国際収支を見てみましょう。国際収支はトータルでいくら海外からお金を引っ張ってきているかという指標です。
直接投資と証券投資(株や債券への資金流入)によって、プラス圏を維持していますね。
財政収支
インドの課題として対GDP比での債務の多さが挙げられます。
以下他の主要な新興国の平均の債務比率が45%であるにも関わらず、インドは70%の政務比率となっています。景気後退や金融機関の破綻などのリスク発生時に、財政出動余地は低いという難点となります。
更に毎年の財政収支は以下のように大幅な赤字が続いている為、この傾向は拡大していくことが確実となっています。

この原因は税収の対GDPの低さが影響しています。

ではなぜこんなにGDPに対する税収の比率が低いのでしょうか。
インドはなんとちゃんと納税している人が数%しかいないんですね。なんと課税所得水準が高く設定されている為、所得税納税者が全人口の2~3%しかいないんです。
非常に羨ましいですね。ただ当たり前といえば当たり前なのですが、これは見直されることが予想されています。
また中小企業の中には実際は収入が発生しているにも関わらず、課税を逃れている企業も多く存在していると言われております。
ここはモディ首相の手腕が問われますね。
ただ財政収支が赤字だからといって、デフォルトする可能性は低いです。それは外国人の国債の保有比率が4%と非常に低いからです。
要は日本と同じですね、国民の家計資産の中から国が借金しているだけなので、国内で消化されているだけという仕組みになっています。
ただ銀行の不良債権比率には注意が必要です。

インドの銀行セクターにおける不良債権比率
特に公営銀行の不良債権の比率が急上昇し、一部の企業への貸し出しが滞っており、経済成長の下押し圧力となっています。
インドの政治
次にインドの政治を見ていきましょう。政治が安定しないと経済が安定していきませんからね。
インドといえばモディ首相で、アベノミクスと共に、モディノミクスを推進しています。
以下の今までの推移が分かり易い図をご覧ください。

インドは前シシ政権時代に昏迷し、経済成長率も下落しましたが、モディ政権発足から再び経済成長が加速し始めました。
簡単に前政権との比較をご覧ください。

モディ政権になってから、海外から規制緩和も行われ直接投資も増加し、税制度も整えていっております。
それではモディ首相が行った代表的な施策について二つ特集していきたいと思います。
高額紙幣の廃止
まず高額紙幣廃止についてですが、2016年11月にモディ首相は現行の500ルピー(日本円で800円相当)紙幣と1000ルピー(1600円相当)紙幣の廃止を突如告げました。
発表から4時間後に無効になるという衝撃的な内容の政策を発表しました。皆さん、政府からいきなり1万円を無効にしまーすと言われたら大混乱ですよね。
実際には価値がなくなりますが、廃止された紙幣は2016年のうちには新紙幣と交換されるのですが、この二つの紙幣は全流通量の86%となる為、銀行には交換の為に長蛇の列が出来上がりました。
カード決済すればいいじゃないという声も聞こえてきそうですが、インドは現金社会で、銀行口座をもっていない人も多い為、深刻な現金不足となり一時的に個人消費が大きく落ち込ました。
大暴動がおきると思いきや政策の方向性自体は支持するむきが多いです。そもそも何故こんなことをしたかということを説明します。
インドではブラックマネーという統計上現れない通貨が流通し、汚職、脱税、不正蓄財が行われているのですが、これを炙り出す効果があるというのがまず一つ目の理由。
もう一つは先程述べましたが、新紙幣への交換の最中に、銀行口座の作成をすすめ、更にクレジットカード開設をすすめ現金決済からの脱却の為です。
その為、この暴挙とも思われる政策の支持率は高いのです。
GST(物品・サービス税)導入
独立後最大の税制改革であると言われております。
それまでインドでは中央政府が物品税(物の製造に課す税)やサービス税、中央サービス税(州をまたぐサービスの提供)の課税権を有する一方、
各州政府も付加価値税(所謂消費税)の課税権を有しておりました。
これにより課税主体や税率がばらばらとなっており、企業にとって税にからむコストが膨大しておりました。
これを一本化したのがGSTで2017年に成立しました。この成立により中期的にGDP成長率が1.5%~2.0%押し上げられるという試算もでております。
まとめ
みたところ、めだった課題は殆ど見当たらなかったインドで今後も内需の拡大更に海外からの直接投資の増加、更に安定した政治基盤を背景として順調に成長していく確度が高い新興国となっています。
前回から今回にかけてインドの経済の現状と今後の成長可能性について詳しく見てきましたが、果たして株式市場は現状どうなっているのかを確認する必要があります。
いくら経済が堅調で、財政・政治にも問題がなかったとしても株式市場が将来の成長を織り込んで割高な水準になっていたら、株式投資という観点でいえば妙味があるとはいえませんからね。
それでは、次回は魅力的な国であるインドの株式市場がどうなっているのかという点について見ていきたいと思います。
いまこのタイミングで、インドの株式へ投資するべきなのでしょうか?詳しくみていきましょう。
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