手元には必死に働き、節約をしながらこつこつと2000万円程度の資産がある。周りには財テクをしている人もいるし、自分も何かをして資産を殖やさないと意気込んでいる方もいらっしゃると思います。
そもそもの資産運用をする際の考え方については、以前、資産運用の考え方について記載しましたが、今回はFXが資産運用に適しているのかということを題材にしていきます。
→ 資産運用の必要性を徹底解説~安全性の高いおすすめのお金の投資手法を紹介~
よく周りにFXで儲けている人がいるし、広告や雑誌でもFXで月100万円という宣伝もみるし、とりあえず取り組んでみるかという人は多いと思います。
実際口座開設も簡単ですし、要は為替レートが上がるか下がるかにベットするというシンプルさから日本で大ブームを引き起こしました。
実際世界の個人投資家の55%は日本人ということからも分かるように、日本人の個人投資家のFXの選考度合は高いです。
私は総合商社時代に為替部隊で自己勘定トレーディングを行っていた経験もあり、FXが資産運用としてどうなのかという点を解説していきます。
個人投資家のFXでの取引の方法は主にキャリー取引とテクニカルトレードの二つありますので夫々について解説していきます。
Contents
人気のキャリートレードの欠点とは?
キャリートレードは南アフリカランドやトルコリラのような高金利通貨を買い、低金利通貨である日本円を売ることにより金利を得る手法です。
高いスワップポイントをもらえるので高金利通貨への投資は人気を博している
日々スワップポイントという金利が入ってくるためコツコツ蓄えることが大好きな日本人に選好されている取引になります。
例えばトルコリラではおよそ年間10%の金利がつく為、10倍のレバレッジをかけることにより年100%のリターンが見込めます。つまり元本の1年が返ってくるのです。
日本では毎月分配金投資信託が流行していることから分かる通り、定期的に一定のお金が貰える方法を魅力的に考えてしまうのです。
高金利通貨の罠とは?為替レートにも目を配ろう
いくらスワップで金利を得たとしても肝心のレートが大きく下落してしまっては意味がありません。
以下は過去5年のトルコリラ円のチャートです。たった、5年でトルコリラ円の価格は3分の1まで下落しています。

たとえ、スワップポイントをもらっていたとしても、ここまで大きく下落してしまえば最終損益は大幅にマイナスになってしまいます。証拠金取引の場合は追証をくらい退場となった方も多いことと思います。
でも、これはたまたまなんじゃないの?
反対に上昇したらスワップポイントとダブルで大儲けできるのでは?
と疑問に思われた方が多いと思います。
しかし、残念ながら高金利通貨は円に対して下落する可能性が高いのです。その理由についてお伝えしていきます。
高金利通貨の国はインフレ率が高い
金利が高いということはインフレ率が高いことを意味します。新興国では以下の二つの要因で主にインフレが発生します。
- 急成長による需要の増加に伴うコストプッシュ型インフレ
- 政情不安などによる紙幣の信任低下によるインフレ
新興国の中央銀行も先進国とどうようインフレ率を一定以下に抑えることを政策目標としています。
→ 日本銀行(BOJ)と米国中央銀行(FRB)の金融政策をわかりやすく解説!金利やマネーサプライと株価の関係についてもお伝えする。
金利を上昇させれば、人々の経済活動を抑制してコストプッシュ型のインフレを抑えることができます。また、政府の信任低下による通貨価値の下落も金利を付与することで防衛することができます。
いずれにせよ、金利が高い国というのはインフレが発生している国ということになるのです。
インフレ率が高い国の通貨の価値は下落しやすい
インフレが高い国の通貨は下落します。わかりやすくインフレが2%発生している米国と、インフレが発生していない日本を例に比べてみましょう。
以下の通り、現在日本ではリンゴが100円、米国では1ドルで販売されているとします。1年後には日本では変わらず100円のままで、米国では1.02USDになっているとします。

リンゴはリンゴなので1年後には1USD=98.04円の円高ドル安方向に理論的には動くことになります。
高いインフレ率が発生している新興国では当然、更に円高が進みやすいことになるのです。高金利だけでなく通貨価値の希釈まで加味して判断を下す必要があるのです。
テクニカルトレードで勝つのは難しい
所謂チャートを分析することにより、ここから上がるか下がるかを判断する取引手法となります。FX取引を行うのであれば、この方法が一番王道ですが難点が二つあります。
難点①:プロに比べて情報が少ない
実際に主なプレイヤーである銀行は買いオーダーや、売りオーダーを預かったろストップのオーダーを預かっています。
また銀行同士でコミュニケーションをとることにより情報優位性が高いため、個人より圧倒的に優位な立場に立っています。
難点②:資金量が圧倒的に違う
投機的なヘッジファンドや機関投資家は大きな資金力を持っている為、彼らが本気で買い仕掛けや売り仕掛けを行えばテクニカルに関係なく相場が大きく動くことがよくあります。
資金力がない個人は、彼らの動きに右往左往されることが多く、結局上がるか下がるか分からないルーレットにかけるのと同じになります。
これらのことからFXで個人が長らく生き残るのは難しいです。
実際私の同僚で穀物や為替のSPEC取引で仕事上は大きな利益を上げていた人も、仕事をやめFXを行った瞬間に勝てなくなりました。
個人ではかんがえられないレバレッジで取引を行っていたこともあり億の負債を抱え自己破産した人もいます。
FXは資産運用に適しているか?
仮に上記で説明したテクニカル取引がうまくいったとしても、運用する資産が大きくなり一日あたり数百万円単位で動くような単位となれば、とてもサラリーマンなどをやっている場合ではなくなり本業がかなり疎かになります。
そもそも長年テクニカルで稼いでいるような人は相場に張り付いている専業トレーダーの人が殆どですので、なかなか本業を抱えながら成功している人は周りに見当たりません。
このブログの目標である1億という資産をサラリーマンとして定期的な収入を得ながら、資産運用によって築くという目的に対して、これらの理由によりFXというのは適していないといえるでしょう。
やはり相手にするマーケットは為替ではなく、王道の株式市場に向き合うべきだと考えます。
それは、上記のような理由と共に為替は上がるか下がるかのゲームですので(あえて投資とは呼びません) 全員を合わせるとゼロになります。※正確にいうとFX会社の売買差益(ビッドとオファー)を考慮するとゼロ以下となるます。
然し株式市場は資本市場が存続し、経済が成長する限り株式市場自体の価値は上昇し続けるため、常に勝ち続けることが可能なマーケットになります。また理論的な価値を現金価値と事業価値に分解することにより算定することが出来ます。
前回述べました通り、資産運用は自分の資産を着実に殖やしていく投資法ですので株式市場の力を利用して資産を殖やしていきましょう。
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